奇跡のリンゴ
「世界でいちばん農薬使用の多い国、それが日本なのです」
木村秋則先生のこの言葉は、衝撃でした。
中国の方が農薬の使用が少ないのだそうです。
確かに日本の野菜は、虫に喰われていなくてきれいです。
でもそれは、農薬が使われているということなのです。
海外の旅行者は「日本に行ったら、野菜を食べるな」という注意を行く前にうけるそうです。
そんなに危ないの?と、耳を疑う話でした。
木村先生と言えば「奇跡のリンゴ」(幻冬舎)の生みの親です。
「奇跡のリンゴ」は、無農薬・無肥料・無除草剤による自然栽培でできたリンゴです。
自然生態を利用した自然栽培は、部分だけではなく全体をみます。
土の中には沢山の生き物がいて、土を豊かにしてくれるし、虫が農薬以上の働きをして害虫を食べてくれる、土は深さによって温度が違うし、大豆を植えるとアブラムシが発生しない等々、自然の生態を生かした独自の農法。
リンゴの自然栽培は100年以上、絶対に不可能と言われていたため、世間で「奇跡のリンゴ」と呼ばれるようになりました。
木村先生と「奇跡のリンゴ」は、映画「降りてゆく生き方」や舞台「りんご 木村秋則物語」のモデルにもなっています。
木村式自然栽培の岡山県の稲は、昨年豊作。肥料、農薬、除草剤を使った米の方は収穫が減少したそうです。
自然のサイクルが作った土壌で育った野菜は素晴らしい恵の野菜なのです。
木村先生の野菜は腐らないそうです。
なんと有機肥料の野菜は腐ったという結果が出ています。
そしてショックなのは、有機農法は安全ではないということ。
抗生物質漬けの動物の糞などの有機肥料なので、実験すると野菜やお米がひどく腐敗してしまうというのです。
それってお腹の中でもそうなるということだそうです。
また、未熟堆肥というのもあるらしいです。
家畜排泄物が有機肥料として使えるようになるには、8年もかかるのだそうです。
未熟堆肥かどうかを見分けるのは難しいけれど、生産者の顔や名前がわかる物なら安心なのでは、ということでした。
こういうことは、オーガニックにこだわっている人なら知っているのでしょうか。
そして土地がJAS有機としてつかえるようになるには、3年以上、農薬と化学肥料を使用しないで栽培しなければならないのです。
大変な時間がかかります。
木村先生も10年近い無収穫時期を経験され、大変な苦労をされています。
周りからもこのやり方は受け入れてもらえなかったそうですが、今ではすべての農作物における自然栽培を立証、確立。
その自然栽培は、国連のFAO農業食糧機構の、世界重要農業遺産システムに認証されました。
海外からの研修生も多く、韓国は国で費用を負担しています。
木村先生の自然栽培は、りんごや稲、野菜の気持ちになって、声を聞いてあげて育ててあげます。
自然栽培塾では、農薬、化学肥料はもちろん、有機肥料も使わずに、自然のままの本当の健康的な野菜や果樹を育てることを伝えています。
木村先生は「今日、生産は安定、且つ豊富な流通をもたらすに至りましたが、一方では、長年に及ぶ肥料や農薬の使用により、河川の汚染など、地球環境に異変が起き始めています。
2009/08/27、アメリカ国立海洋大気圏局(通称=NOAA)の発表によると、これまでフロンガスによるオゾン層の破壊阻止を、国際的なテーマとして取り組んできたが、新たなる脅威として、年間約1000万tも排出される温室効果ガスであり、化学肥料や家畜排泄物に含まれ、地球温暖化を促進するのが亜酸化窒素。
そして亜酸化窒素の排出削減により、地球温暖化進行とオゾン層破壊対策の双方に効果がある。早急な国際的対策が必要」と話されました。
「このまま肥料・農薬・除草剤などの諸生産資材を使用する現代農業続けて行くと、人口増加により食糧確保の為に益々使用量が増加し、更に肉食普及に伴い、畜産業では飼育頭数の増加が予測され、当然、家畜排泄物が増加すると考えられます。
これは先述の通り、「亜酸化窒素」の増加を招き、地球温暖化進行に拍車をかける事になります」と木村先生。恐ろしい現実です。
現在、家庭菜園人口が300万人。
時間がなくて、木村先生にとても聞きたかった質問ができませんでした。
それは家庭菜園、しかもベランダの場合、無農薬は当たり前として、無肥料でどうやって野菜をそだてたらいいのか・・・ということです。
「昔から”健康に勝る宝無し”言われてきました」と木村先生はおっしゃいました。
「健康を害する前に、今の食をもう一度考えてみる時期だと思います」と続きます。
西洋医療のように、部分だけでみるのではなく、全体でみるという考え方、薬を使わないのがいちばん健康で腐らない野菜になること、自然を生かす考え方は人にも言えることだと思います。
健康的な野菜が食べられますように。
安全で安心で本当に人のための農業と言える、木村式自然栽培がもっと普及しますように。
すべての人が健康でありますように。
愛と願いをこめて。
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