まだ間に合うから、ただ、ただ・・・「ハートを抱きしめて」
「クラウディアからの手紙」を観に行く家の人たちを、劇場まで送って行った。そっち方向に、好きなお蕎麦屋さんがあるので、家を早めに出て、その店でお昼ご飯を食べた。
・・・お蕎麦はルチンだからでしょう?って。
その通りで、ございます。ポリフェノール~。
でも、そんなことが、もてはやされる前から、お蕎麦、好きなの!
私は特に、ここの店のお蕎麦が好きで、
一度、家の人たちにも食べさせたかったので、
みんながおいしい!と言ったのを聞いて、
なんだか嬉しくて、いつもより、おいしい気がした。
前に女友達が「銀河一おいしいおでん屋があるから、
許さんも行こう」って言っていたけど、
こっちは、銀河一おいしい蕎麦屋というランクにしよう。
鴨のつくねと揚げ茄子の蕎麦を食べ終わって、
劇場に行く人たちと別れて、子供とブラブラ歩いていたら、
「まだ間に合うから、ただ、ただ、まだ、間に合うからー!
無料、無料。どれにする?まだ、あと少しなら、間に合うから!」と、
若いおじさんに声をかけられた。
「ただ、ただ、無料であげちゃうんだから。あー、
よかった、よかった、まだ間に合うから、どれにする?」
立ち止まって、というか、目の前に立ちはだかれて、
後ろを振り向いたら、もうひとりのおじさんが、
「あと二人くらい、いいか」と、
人数を確認するようにキョロキョロ見回して、
私に「膝?肘?腰?」と、聞いてきた。
その間も、聞こえてくるのは「あー、よかった、よかった」と、
「ただ、ただ」の、声。
全員、青いハッピを着ていて、お姉さんも一人いる。
「どれがほしい?」と聞かれて、ちっちゃなチラシを見せられて、
そこには、サポーターが三つ。
つい、いっしょに覗き込んで、
「これが、ひざ用、ひじ用、腹巻ね、どれがほしいの?」
「うーん、腹巻かな~」つい、答えてしまった。
子供も、「腹巻」と、答えていた。
「腹巻ね、無料だよ、あー、よかったねー」
そういうと、最後の二人の私たちとともに、
「ただ」に目がくらんだ集団、
10人くらいは、5メートル先の別の屋台に移動させられた。
その間も、
「よかった、よかった」
が、聞こえていた。
そこで、みんなで、嬉しそうに、
餌を待つ鳥の雛のようにしていた。
はっぴの人たちは、4人。
ボスはっぴみたいなのが、だらだら説明をはじめ、
「今日は人数少ないから、二枚あげちゃうよ。二枚ほしいー?」
と、言うと、輪の中のおばちゃんが、
「ほしいいいい!」と、答えた!!!
5分くらい待っていたら、カカトにつけるベルトで、
健康サンダルの痛そうなボツボツがついているのを、台にひろげた。
その瞬間、なんにもほしくなくなった。
子供に、こそこそ
「腹巻ほしい?いらないね」
というと、「うん」とうなずいたから、
「行こう」といって、振り返ったら、
はっぴのお姉さんが両手をひろげて、
バリケードをつくって、
「ただですよ」と、言った。
「時間がないから」と、私は言った。
嬉しそうにしている鳥の子軍団から私たちは、脱出した。
今日は、蕎麦の花の蜂蜜と、
LUSHの石鹸を買った。
期間ものでハートが埋まっている石鹸で、その名も
「ハートを抱きしめて」だ。
大きなケーキみたいな石鹸を、
包丁でカットする量り売りで、
これバレンタインデーには、あげられないねと言いながら、
それでもすごくいいとこを、切ってもらった。
使うのがもったいない感じ。うれしいな。
この前、持って行き忘れたアロマオイルと約束の石鹸を、思い出している。
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